団体信用生命保険(団信)の審査項目と告知での注意ポイント

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住宅ローンの相談をやっていて、最近急増していると感じている相談テーマがあります。

団体信用生命保険、よく「団信(だんしん)」と呼ばれている保険の審査に関する相談です。

最近受けた相談の例を挙げると・・・

2年前まで、うつで定期的に通院していて現在は完治しているのですが、団信に加入できるでしょうか?」

「去年の健康診断で“要再検査”という項目があるのですが、これって住宅ローンを組むとき問題になりますか?」

「高血圧で薬を飲んでいるのですが、それも告知したほうが良いのでしょうか?告知することで加入条件に引っかかる可能性もあるのでしょうか?」

という感じです。

これらの質問を一言で要約すると、

団体信用生命保険の審査が心配だけど、住宅ローンは無事に組めるでしょうか・・・???

ということになるでしょう。

これらの不安を払しょくするには、

 1.団信の審査項目を把握する

 2.告知書の書き方を習得する

という2つをやっておくことが近道です。

本コラムでは、告知書の質問項目の代表例を見ながら、記入に関する注意点等を説明したいと思います。

■団体信用生命保険(団信)とは・・・?

さて、まずはざっくりと団体信用生命保険(団信)について説明しておきましょう。

団信とは、返済中に借り手が死んでしまっても、住宅ローンの返済が滞らないようにする目的で加入する保険です。

“夫が死亡しても家は手に入る”という話を、聞いたことがあると思います。

住宅ローンを夫名義で組む場合、ご主人が団信に加入していれば、万が一があっても保険金を住宅ローンの返済にあてられます。

これが団信に入る目的です。

そして、団信に加入することが、多くの金融機関で住宅ローン貸出の条件にもなっています。

加入には健康状態に関する告知(質問に答えること)が必要で、告知内容によっては加入を拒否されることもあります。

加入拒否されると、金融機関から住宅ローンを組むことをお断りされることになります。困りますよね・・・???

したがって、上記のような相談が最近増えてきているのです。

では、この団信。加入に際しどのような審査が行われているのでしょうか?

■告知書の質問項目の代表例を公開

団信の審査(診査)内容を知るためには、審査項目の把握が大切です。

審査項目は「告知書」に記載されている質問を見れば分かります。

ただ告知書の質問内容は、金融機関(正確には、金融機関と提携している保険会社)によって微妙に異なります。

したがって不安のある方は、住宅ローンを組む予定の金融機関の告知書を、事前に見せてもらうようにしてください。

微妙に異なるとはいえ、団信の質問項目は共通している部分が多いので、ここでは代表的な告知書の質問内容を見てみましょう

告知書に記載されている質問事項の主なものは次の通りです。

(※複数社の団体信用生命保険の告知書をもとに再現。引受保険会社により微妙に異なりますが、多くの項目が共通しています。)

・告知書の質問内容例

質問 回答
1.最近3ヵ月以内に医師の治療(診察・検査・指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。 はい・いいえ

2.過去3年以内に下記の病気で、手術を受けたことまたは2週間以上にわたり医師の治療(診察・検査・指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。

・(心臓・血圧)狭心症、心筋こうそく、心臓弁膜症、先天性心疾患、心筋症、高血圧症、 不整脈、心不全

・(脳・精神・神経)脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)、脳動脈硬化症、精神病、うつ病、神経症、てんかん、 自律神経失調症、アルコール依存症、薬物中毒 、知的障害、認知症

・(肺・気管支)ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、 気管支拡張症、慢性へいそく性肺疾患、肺せんい症

・(胃・腸)胃かいよう、十二指腸かいよう、 かいよう性大腸炎、腸へいそく 、クローン病

・(肝臓・胆のう・すい臓)肝炎(肝炎ウイルス感染を含む)、肝硬変、肝機能障害 、胆石、胆のう炎、すい炎

・(腎臓・尿管)腎炎、ネフローゼ、腎不全、のう胞腎、腎臓結石、尿路結石

・(目)緑内障、白内障、網膜の病気、角膜の病気

・(がん・しゅよう)がん、肉腫、白血病、しゅよう、ポリープ

・(その他)糖尿病、リウマチ、こうげん病、貧血症、 紫斑病、甲状腺の病気

・(女性のみ)子宮筋腫、 子宮内膜症、 乳腺症、 卵巣のう腫

はい・いいえ
3.手・足の欠損または機能に障害がありますか。または、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか。 はい・いいえ

主な告知事項は上記のとおりです。

■告知書の内容をわかりやすく解説

では、各項目の詳細について説明しましょう。

・審査の対象となる病名

告知書の項目ごとの分量を見ると、2番が一番ボリュームがあるのが分かります。

つまり、団信の審査の基準(査定基準)は、2がメインだということが理解できます。

2では病名を明記しています。

これらの病歴がない方は自動的に「いいえ」を選択することができます。もちろん、審査の上でも通りやすくなります。

ただし、2の項目が「はい」であったとしても、必ずしも加入を拒否されるわけではありません。

団信を引き受ける保険会社では、病名、治療期間、投薬している薬の種類などを総合的に判断して、加入の可否を決定しています。

したがって、「はい」の項目があったとしても、内容によっては問題なく加入できることも少なくありません。

・最近の健康状態

告知書の1番は、最近の健康状態に関する質問です。

質問内容は、治療や投薬のみを対象としているわけではありません。

診察・検査・指示・指導を含みます」という文言からも分かるように、最近通院した方のほとんどが「はい」と答えなければならない内容になっています。

もちろん、ここ3か月以内に病院に行ったことがない方は、まったく問題ありません。

「はい」と答えた場合でも、軽い怪我などで完治している場合には問題にはなりません。

逆に、今後も通院しながら経過観察や治療が必要になりそうな内容の場合には、その病名や症状等の情報をもとに審査されることになります。

・障害について

告知書の3番は、いわゆる“障害状態”についての質問です。

団体信用生命保険で保険金が下りるのは“死亡または高度障害”に該当するケースです。

障害を持っている方の場合、内容によっては今後“高度障害”と呼ばれる状態になりやすい可能性もあるため、現在の状態に関する告知を必要としています。

該当する方は「はい」を選択し、詳細を記入してください。

これも同じく「はい」を選択すると加入できないわけではなく、障害の内容を見ながら保険会社で判断していくことになります。

なお、当然ですが、1~3が全て「いいえ」の方は、問題なく団信に加入できますので、ご安心ください。

・告知の対象となる期間

あと確認しておいてほしいのは、告知の対象となる期間です。

1には「3か月以内」、2には「3年以内」「2週間以上」という記述があります。

これらの期間に該当しない場合には、告知する必要はありません

したがって、たとえば・・・

 ・インフルエンザで4か月前に診察を受け完治した場合→1の「3か月以内」に該当せず、2にも指定がない病気→告知は不要

 ・胃かいようにかかり完治。通院もなく3年以上経過している場合→2に指定されている病気だが、3年以内の治療歴がない→告知は不要

ということになります。

一方、初診日が3年以上前であっても、そのあと通院をしていて、ここ3年以内にも継続的に通院をしていた場合、告知が必要となります。

 ・貧血症と5年前に診断。その後、定期的に通院し貧血の薬をだしてもらい、1年前に通院を終了→2に指定されている病気で3年以内の通院がある→告知が必要

“期間”が絡む質問項目については、「告知は必要?不要?」という質問をよく受けます。

ぜひ上記の説明を参考に、検討してみてください。

■審査結果を左右する”記入に関する勘違いと注意点

では最後に、告知書の記入に関する“勘違い”と“注意点”についてお伝えしましょう。

記入に関しての“勘違い”が、保険金の支払いのときに大きな問題になることがあります。

また、告知書の記入方法に対する“勘違い”が、審査の結果まで左右することもあります。

ここで勘違いをしっかり正し、後悔することのないようにしましょう。

・あなたの住宅ローン担当者は、保険査定のプロではない

まず、ありがちな小さな勘違いから。

団信に加入できるかどうかを住宅ローン担当者に聞く方が多いですが、あなたの目の前にいるローン担当者は保険査定のプロではありません

査定基準は各保険会社の社外秘の情報で、その専門部署に所属する人しか知りません。

したがって、加入の可否を、住宅ローン担当者が正確に答えることは不可能です。

よく、「銀行の人から大丈夫と言われたのに・・・」と相談に来る方がいらっしゃいます。

不動産屋も銀行員も、保険査定の専門家ではないので、加入の可否を保証することはできませんので注意してください。

もちろん、経験上ある程度分かることもあります。聞くならあくまで“目安情報”として聞きましょう。

・やってはいけない!告知義務違反

告知において、審査に不安のある方の多くが「嘘をついてでも審査に通過したい」と考えるようです。

実際、「書かなければバレませんよね・・・」と聞かれることもあります。

結論から申し上げますが、万が一があっても保険金が支払われないので、絶対にやめてください。

保険金が下りないということは、家族の誰かが住宅ローン返済を続けなければならない、ということです。

家族のために家を買ったのに、あなたの死後、保険が下りずにその家族が苦労するとしたら・・・

想像するだけで怖いですよね。

告知義務(正確に健康状態について告知する義務)については、保険会社は非常に厳しく管理する体制をとっています。

加入者が死亡したときに、疑わしい点があれば徹底的に調査します。

調査が入り、保険金が支払われなかったケースも実際に目にしています。

よく“加入から2年以内にバレなければ、保険会社は契約解除できない”という都市伝説めいた情報がありますが、あれは間違いです。

契約から何年経っていても、悪質な(つまり意図的な)告知義務違反に対しては、いつでも契約解除できることになっています。

また、上でも説明した通り、あなたの住宅ローン担当者は保険査定のプロではありません。

担当者が「告知書に書かなくて良いですよ」と言ってくれたとしても、あなたの死後、保険が下りないことに対して責任は取ってくれません。

きちんと告知して万が一に備えましょう。

・告知は詳細まで書かない方が良い?

最後に、診査の結果にも絡む大事なポイントです。

相談者に多い“勘違い”は、「告知書に病気の詳細まで書くと、査定で不利になる」という勘違いです。

細かい情報まで書いてしまうと、かえって上げ足を取られそうな感じがしますよね。

そして、それが原因で加入を拒否されるかも・・・と考えてしまう。その気持ちは分かります。

でも、これは大きな誤解です。

先にも述べたように、保険会社では、病名ごとに、治療期間・投薬の種類・年齢等を総合的に判断して、加入の可否を決定しています。

したがって、情報があればあるほど、正確な判断が下せます。

では逆に、記載内容が情報不足だった場合、どのように取り扱われるのでしょうか???

多くの場合、“疑わしきは罰する”というのが原則です。

想定できる病状の中で、一番重い病状にある、という前提で査定結果を出すのです。

具体例で説明しましょう。

たとえば、「高血圧症」で同じ治療をしているAさんとBさんがいます。

・3年間薬を飲んでいるAさんは詳細記入欄に、単に「服薬中」と記入。

・同じく3年間薬を飲んでいるBさんは、「○○(薬の名前)を1日1回服薬中」と記入。

この場合、Bさんは査定に必要な情報を詳しく書いているため、正確な査定結果を出すことができます。

一方、Aさんの場合

 “飲んでいる薬が不明

ということで、保険会社では正確な判断が下せません。

保険会社は過剰なリスクを負うことを嫌います

Aさんが飲んでいる薬を、実際に飲んでいる薬より軽めだと想定して査定したら、保険会社側のリスクが大きくなります。

したがって、症状から想定しうる範囲内のキツめの薬を飲んでいるものと仮定して、加入の可否を判断するのです。

本当は、Aさんが軽めの薬を飲んでいても、です。

場合によっては加入を拒否され、住宅ローンも組めないことになってしまいます。

それだけは避けたいですよね・・・

一般的に、告知で詳細まで記入すると不利になる、と思われていますが、実際は逆なのです。

また、保険会社によっては“美点評価”(正直に告知してくれているから、査定をちょっと甘めにする)という方式で審査結果を出してくれるところもあります。

これは、診断書や健診結果などを添付して告知したケースなどで、よく適用されています。

告知ひとつで審査結果が変わることもあるので、告知の際には詳細までしっかり情報を出すことをお勧めします。

■まとめ

団信の審査が不安という方は、まず、申込予定の金融機関の告知書を見せてもらいましょう。その上で、事前に告知事項に該当するかどうかを確認しましょう。

告知事項に該当するものがあった場合には、書き方を検討してみてください。告知書の書き方ひとつで審査結果が変わってしまうこともあります。ポイントは“詳しく記載すること”です。

病気別の告知のポイントについては、関連コラムでもお伝えします。

 
ぜひそちらも参考にしてみてください。

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