長年の低金利の影響もあり、以前組んだ住宅ローンの借り換えをしたいという相談も、ここ数年よく受けます。
実際にシミュレーションをすると、ほとんどの方が100万円単位で住宅ローンの返済額を減らすことが出来ています。
生涯の支出が数百万変わることもあるので、多くの方が借り換えに乗り気になります。
しかし忘れがちなのが、借り換えの際にも住宅ローン審査が行われるということです。
せっかく気に入った住宅ローンを見つけ、借り換えを実行に移そうとしても、審査で引っかかる方も出てきてしまうのが現実です。
本コラムでは、盲点になりがちな借り換えの際の審査について、”新規で住宅ローンを組む際の審査とどんな違いがあるのか?“という観点で解説していきたいと思います。
■借り換え審査も新規の審査も8割方同じ
まず押さえておきたいポイントは、上述したように、借り換えにも審査があるということです。
「一度借りられたわけだし、現在進行形で返済も継続しているのだから、形式的な審査で簡単に通るだろう」と甘く考えている方も多いようです。
が、残念ながら審査内容は新規で住宅ローンを組むときと変わりません。
したがって、
・年収と借入額のバランスが適正か?
・勤続年数や年齢などの属性は借入条件を満たしているか?
・団信に加入できる健康状態か?
といったことは、当たり前のように審査されることになります。
そうなると、新規で住宅ローンを組んだ時と比べて、状況が好転している方もいれば、状況が悪くなっている方も出てきます。
そして経験上、むしろ後者(状況が悪化している方)のほうが多いように感じます。
■こんな状況の人は、借り換え審査に要注意
たとえば、次のようなケースでは借り換え審査も容易には通らない可能性があるので注意が必要です。
・退職までの年数が短かすぎる(10年に満たない)
・3年以内に転職している ・新規の時は健康だったが、今は定期的に通院している ・3年以内に入院した ・年収が当時(新規で住宅ローンを組んだとき)と比べ、横ばいか下がっている ・ 消費者金融からの借金を返済中 ・2年以内にクレジットカードの引き落としの延滞をしてしまった |
以上の例は代表的なものですが、細かいものまで挙げればきりがないくらい色々なケースで審査に落ちる方がいらっしゃいます。
特に、新規で住宅ローンを組んだ若いときに比べて、それなりに年齢を重ねています。
年齢とともに健康状態も悪くなるのが一般的なため、診断で再検査を勧められたり、定期的に通院するような病気にかかる可能性も高くなります。
そのため、借り換えの際に団信に加入できず、住宅ローンが組めない方も増えてきます。
一度住宅ローンがスンナリ組めてしまうと、「次も大丈夫だろう」となりがちですが、必ずしも簡単な審査ではないということを肝に銘じておきましょう。
■借り換え時の審査で最も重要視される項目とは?
新規で住宅ローンを組むときには審査対象にならず、借り換え審査では重要視される審査項目が1つあります。
それは何かというと・・・
「現在の住宅ローンの支払い履歴」です。
借り換え審査では、早ければ事前審査の段階で、
「住宅ローン返済用口座の取引履歴」の提出
を求められます。
通帳がある銀行の場合は、通帳のコピー。ネット銀行の場合は取引履歴をプリントアウトしたものを提出するように言われます。
何を見たいかというと、“毎月とどこおりなく住宅ローンを返済できているか否か?”です。
過去のコラムでも何度も書きましたが、金融機関が一番嫌がるのは“貸したお金が返ってこないこと”なのです。
借り換えの方の場合、既に住宅ローンを組んでいる方なので、“いまの住宅ローンを、毎月しっかり返済できているか?”を見れば、きちんとお金を返せる人がどうかが一発で分かるのです。
逆に言えば、もし返済が滞っているような状況(返済日に遅れた履歴がある等)の場合、審査が厳しくなる可能性も高いので気をつける必要があります。
もちろん、1回くらいなら“うっかりしていて・・・”で済ましてもらうことも出来るかもしれません。
しかし、審査に不利な影響を与えることは確かなので、借り換えを検討している方は、現在の住宅ローン返済に遅延などが生じないよう、借り換え前には十分注意するようにしてください。
■まとめ
新規で住宅ローンを組むときも、借り換えのときも、審査内容にさほど違いはありません。
しかし、最初に組んだときと状況が変わっていれば、借り換えが出来ない可能性も出てきます。
特に、現在の住宅ローン返済に延滞などが生じないよう十分に注意しながら借り換えを検討しましょう。