個人事業主の事業借入が、住宅ローン審査に不利って本当ですか?

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私のところに届く住宅ローン相談の中には、難易度の高いものが多々あります。

年代や職業を問わず、それぞれ様々な事情を抱えたお客様が多いですが、職業別で見たときに一番難易度が高いのは、個人事業主(自営業)の方です。

個人事業主の場合、難易度が上がる一つの要素は「年収」です。

年収を低く設定しているために、借入希望額まで借りられない方が多いからです。

難易度が上がるもう一つの要素は「事業のための借入」です。

特に、

・店舗を作る必要がある業種

・仕入れが必要な業種

・事業に高額の機材が必要な業種

などは事業のための借入をされている方が多いのが特徴です。

本コラムでは、「個人事業主の事業借入が住宅ローン審査でどのように扱われるのか?」について、お伝えしたいと思います。

■事業のための借入も個人のもの

・事業のためでも「個人の借金」

まずは基礎的な知識からお伝えしておきましょう。

自営業者が事業のために借金をした場合、住宅ローン審査では「個人の借金」として扱われます

個人事業主の方にとっては、この事実はかなり違和感のあるものだと思います。

名目上は「借入」ですが、事業に使うためのお金ですから、事業主にとっては事業に“投資”するためのお金だという感覚のはずです。

自分自身がやっている事業が成長することを確信しているからこそ借りようと思ったお金なので、これを“個人の借金”の一言で片付けられるのはたまらないものでしょう。

しかし、これが住宅ローン審査の現実なのです。

・法人設立している場合は扱いが異なる

では、個人事業主と似ている“法人経営者”の場合はどうなるのでしょうか???

法人の経営者が、法人経営のために借りているお金は、住宅ローン審査では「法人の借入」として扱われます

つまり、個人事業主と法人経営者では、借金を背負っている主体が異なるのです。

個人事業主の延長みたいに見える”一人法人”の場合も同じ扱いです。

法人設立しているかどうかがポイントなので、従業員の有無で取扱いが変わることはありません

個人事業主の住宅ローン審査が厳しい、と書いた理由もよく理解できると思います。

■返済比率(返済負担率)をクリアできるかが勝負

・審査でネックになる返済比率

個人事業の借入が”個人の借入”と判定されると、何が不利なのでしょうか?

法人設立している場合と、住宅ローン審査では、何が異なるのでしょうか???

住宅ローン審査で重要視されるものの1つに、”返済比率(返済負担率)“というものがあります

返済比率については、当コラムでも何度か取り上げていますが、改めておさらいしておきましょう。

返済比率とは、

(個人が抱える全ての借入の年間返済額)÷(その人の年収)

で計算される数値です。

上の式から計算される数字が小さければ、年収に対する借入額の割合が少ないことを意味します。

逆に、数字が大きければ、年収に対する借り入れ額の割合が多いことを意味します。

住宅ローン審査では、この返済比率の数字が一定基準より小さければ審査を通過でき、逆に基準より大きければ審査に落ちることになります。

各金融機関で、返済比率の基準は異なりますが、一般的には年収400万以上の方だと、返済比率の基準は35% (上の計算式では0.35)以下であることが目安になります。

・年収と借入額のバランス次第

返済比率の計算項目の1つである「個人が抱える全ての借入」には、住宅ローンの返済額も含まれます

これから住宅ローンを組む方に関しては、借入希望額から年間返済額を計算し、他の借入と合算して審査を行います。

したがって、事業のための借り入れが”個人の借金”と判定されてしまう個人事業主にとっては、借入の割合がどうしても大きくなってしまうので、住宅ローン審査では不利になってしまうのです。

借入額と年収のバランスを見ているので、借入額はどんなに大きくても年収さえ高ければ、基準をクリアできることになります。

しかし、平均的な個人事業主の実態として、毎年の年収を抑えている方も多いので、個人事業のための借り入れが小さくても、返済比率の基準に引っかかる方が多いのが現実です。

■法人化した場合はどうなるのか?

上述したように、個人事業主と法人経営者では事業のための借り入れの審査上の扱いが異なるため、ここまで読むと「自営業なんかやめて早めに法人化してしまったほうがマシだ!」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、早まっていはいけません!!

法人化した場合のメリット・デメリットをしっかり理解してからやらないと、後で後悔することにもなりかねません。

ここでは、個人事業主が法人化した場合の審査上のデメリットについてお伝えしたいと思います。

・安易に法人化してはいけない

まず結論から言えば、住宅ローン審査のために安易に法人化してはいけません

まず住宅ローン審査で法人経営者がどのように審査されるかを知っておく必要があります。

経営者の場合、住宅ローン審査で求められる書類は、以下の2つです。

①会社の決算書3期分

②個人の確定申告書3期分

ここで押さえておきたいポイントは、①の「会社の決算書3期分」という部分です。

住宅ローン審査も、法人設立したばかりでは受けられず、3期分の決算を終えていないと受けられないことになるのです。

・住宅購入を待てるなら法人化もひとつの手段

したがって、個人事業の法人化を検討する場合には、住宅購入時期を少なくとも3年以上先に予定している人でなければ、法人化のメリットが出ないことになります。

しかも、3期分の決算の中に赤字があれば、住宅ローン審査は通らない可能性が高くなるため、法人化しても赤字にならないよう気をつけなければなりません。

ただし、上述したような大きな事業借り入れが必要な業種(店舗が必要な事業、仕入れが必要な事業、事業に高額の機材の導入が必要な業種)等については、個人事業主のままではなかなか住宅購入の夢が叶わないため、少し年数がかかっても法人化しておく方がよいでしょう。

■まとめ

以上見てきたように、個人事業主の事業のための借り入れは、住宅ローン審査では不利になります。

住宅購入まで時期を待てるのであれば、

①事業のための借り入れの返済を進める

②法人化して赤字を出さない状態で3期の決算を終える

という方法があります。

住宅購入の時期をもっと早めたいのであれば、一度専門家に相談してみることをお勧めします。

・いまの状態で住宅ローンが組めるところがあるか?

・住宅ローンを組むために打てる手はないか?(収入を上げる、返済を減らす)

・いま無理だとしたらいつになったら買えるのか?どんな準備が必要なのか?
といったことを専門家に確認しておくと良いでしょう。

当研究所でも、豊富な相談事例がありますので、関心のある方はぜひお気軽にご相談ください。

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