「個人事業主(自営業者)が住宅ローン審査に通らない理由」

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「3年前に独立してサラリーマン時代よりはるかにお金は入ってきてるのに、住宅ローン審査に落ちました。理由が分かりません。」

「サラリーマン時代の同僚は家を購入できたのに、彼らと収入が変わらない自分が家を買えないのはおかしいと思います。」

 

個人事業主や自営の方の相談は非常に多いのですが、ほとんどの相談が不満に満ちています。笑

彼らの怒りの声をまとめると、

・個人事業主はリスクを取って頑張ってるのに、評価されないなんておかしい!

・なんでうちらにだけ厳しいの?

・自営業者はマイホームすら持てないの?

という3つに集約されてきます。

 

確かに住宅ローン審査は、個人事業主や自営業者に対して厳しいです・・・

でもそれには理由があります。

 

金融機関はどうして個人事業主に厳しいのか?

自営業者はなぜ住宅ローン審査に落ちやすいのか?

それらを事前に知ることができれば、住宅ローンを組むための良い準備ができます。

 

本コラムでは、個人事業主(自営業)に住宅ローン審査が厳しい理由についてお伝えしたいと思います。

■個人事業主(自営業)に住宅ローン審査が厳しい理由

・個人事業主や自営業は不安定

残念ながら金融機関から見ると個人事業主や自営業者は不安定です。

住宅ローンの返済は毎月のことなので、月ごとに収入が変動する個人事業主に対しては、「この人に貸しても毎月安定して返済できるだろうか?」という疑問が常についてまわります。

また、給与所得者(サラリーマン)と比較すると雇用保険などもありません。したがって、事業主本人が病気等で働けなくなったときに何も保障がありません。そういう場面で、継続して住宅ローン返済ができるのかどうかも不透明です。

金融機関としては、“貸したお金が返ってこない”ということを一番恐れていますから、当然、固定給をもらっているサラリーマンと同じレベルで審査はできません。。。

もちろん、長年安定して収益を上げている自営業の方もたくさんいらっしゃるので、金融機関も画一的な審査だけで済ますことはありませんが、“不安定な職業”という扱いを受けてしまっていることだけは確かな事実です。

 

・個人事業主は信用がない

残念な情報ばかりで申し訳ないのですが、個人事業主は“信用”も低いのです。

個人事業をフリーランスとか自由業と呼ぶ人もいます。ニュアンスによっては、“マイペースで仕事しているお気楽な人たち”と捉えられがちなのも事実です。

また、法人に比べて法律的な縛りも少ないため、“法人とは取引するが、個人事業主とは取引しない”という会社や団体もあります

金融機関からは、”お金の管理も公私混同状態”に見えていて、事業体のお金と個人のお金が別管理されていないと捉えられがちです。

そうなると、どうしても審査が厳しくなってしまいます。

 

・住宅ローンの破綻件数が一番多い

もうひとつ残念な事実ですが、過去に破たんした住宅ローンの件数を職種や金額別に見ると、個人事業主(自営業者)がその多くを占めているのです。

金融機関では貸したお金が焦げ付く(返ってこない)ことをもっとも嫌います。したがって、個人事業主や自営業者からの住宅ローンの申込に関しては、慎重かつ厳重に審査することになってしまうのです。

 

■個人事業主(自営業)の審査はどのように行われているのか?

 

では、個人事業主(自営業)の住宅ローン審査は、実際どのように行われているのでしょうか?

どういう部分が「審査が厳しい」と言われているのでしょうか?

 

①返済負担率(返済比率)の基準を変える

金融機関によって審査基準はさまざまですが、まず一つの特徴として、個人事業主に対しては返済負担率(返済比率)の基準を変えて審査しているところが多いようです。

返済負担率とは、

「年収に占める住宅ローン返済額の割合」

のことです。

年収ごとに返済負担率の基準設定は変わりますが、たとえばフラット35では、以下の表のように設定されています。

 

年収 400万円未満 400万円以上
返済負担率 30% 35%

 

例えば年収450万のサラリーマン(給与所得者)の場合、返済負担率の上限基準が35%となるので、年間の返済額が157.5万円までは住宅ローンを組めることになります。

 

一方、年収450万の個人事業主の場合、サラリーマンより返済負担率の上限基準を下げるところが多いので、たとえば本来35%のところを厳しめに30%に設定し、年間返済額が135万円までしか住宅ローンを組めなくするのです。

 

つまり、例えば同じ3000万の住宅ローンを組みたいと思っても、個人事業主は給与所得者に比べて年収が高くないと借りれないのです。

 

これが個人事業主に対して審査が厳しいと言われる1つの理由です。

 

②3期分の確定申告書と納税証明書の提出

もう一つの特徴ですが、審査の必要書類として「3期分の確定申告書と納税証明書」の提出を求める金融機関がほとんどです。

3期分の業績を見られることになると事業の安定性も判断できますし、ごまかしが効かないですよね。

 

そして、直近の決算内容を重視しつつも、3期の平均値を参考にしながら審査が行われます。重視されるのは、あくまで直近の決算書ですが、3期とも黒字であることが重要です。

この中に1期でも赤字があると、都市銀行では、ほぼ間違いなく住宅ローンは否認されます

都市銀行は比較的、審査は厳しめだと言われていますが、他の金融機関でも赤字決算があって住宅ローンが組めるということは滅多にありません。

今までのケースでは、個人事業主(コンサルタント)で経費のほとんどが人件費だった、という方が審査に通ったことがありましたが、とても稀なケースです。

仕入れや在庫のある業種では、ほぼ間違いなく審査に落ちることになりますので、住宅購入を控えている方は、赤字決算を作らないように気を付けてください。

 

■よくある個人事業主(自営業)が審査に落ちる理由

さて、上記のように個人事業主にとって住宅ローン審査は厳しいものなのですが、個人事業主側にも審査に落ちる理由が多々存在します。

以下に、よくある審査に落ちる理由を挙げてみました。

 

・節税のため経費を増やし年収を抑えている

個人事業主や自営業者に一番ありがちなのが、このパターンです。

個人事業主は、売上からすべての経費を引いたもの(売上-経費) に対して課税されるので、経費を増やし年収を抑えることで、課税額を減少させることができます。

たとえば、売上1000万に対して、

・経費が100万→900万円に対して課税

・経費が500万→500万円に対して課税

となり、経費が多い方が結果的に節税になるのです。

多くの自営業者がやっていることなのですが、住宅ローンでは年収も審査対象になります。上記の例だと、前者(経費が100万の方)は審査で有利になり、後者は年収が低いため不利なのです。

過度に経費を増やし年収を抑えていると、住宅ローン審査は厳しいものになるので注意が必要です。

また、この記事を見て「じゃあ今年は経費を減らして収入を増やそう」と考える方も多いようですが、そう簡単にはいきません。

個人事業主の場合、先に述べたように3期分の確定申告書の提出を求められるので、昨年・一昨年に比べて今年の年収が急激に増えていると、「住宅ローンを組むために操作したのかな?」と勘繰られることになります

個人事業主は、住宅購入にも計画と準備が必要なのです。

 

・税金や健康保険料等の滞納がある

給与所得者の場合、税金や健康保険料は給与天引きになっているため、滞納や未納という状態は起きにくくなります。

一方で、個人事業主や自営業者は、自分で各種支払いの期限管理もしなければならないため、税金や健康保険料の滞納・未納が多いのが特徴です。

税金の滞納・未納については、それが納税証明書の記載でも判明するので注意が必要です。

また、健康保険料の滞納をしていると、現在の健康保険証が使えなくなり、代わりに短期の(有効期限の短い)健康保険証が発行されます。

住宅ローン審査では健康保険証も提出書類になっており、このとき有効期限の短い健康保険証を持っていると、「この人は健康保険料を滞納しているんだな・・・」というのがバレてしまいます。

いずれも金融機関からは、“お金の管理がちゃんと出来ない人”と思われる原因になります。信用を失う可能性が高いので、滞納・未納には十分気を付けましょう。

・個人名義の借入がある

個人事業主の中には、事業資金を個人名義で借り入れている人もいます。

事業目的の借入とはいえ、個人名義で借り入れている場合には、あくまでも“個人の借金”として計算されてしまいます

住宅ローン審査で言えば、この借入が返済負担率(返済比率)に影響を与えます。他の借金と住宅ローン返済額との合計で、返済負担率を計算するのです。

つまり、

返済負担率=(住宅ローンの年間返済額+他の借金の年間返済額)÷年収

という計算式になります。

計算式からも分かるように、他に借金があると、住宅ローンを組める金額がかなり減ることになってしまいます。

狙った金額まで住宅ローンを組めない個人事業主の方は、こういった個人名義の借入が原因になっていることも考えられます。

 

・収入に加算してもらえない項目がある(青色申告控除、減価償却、専従者給与)

個人事業主は“どこからどこまでを収入と呼ぶのか”という定義が曖昧です。

給与所得者は、会社から受け取っている給与額を“収入”と定義すれば良いですが、個人事業主の場合、

・専従者給与を収入に含めるか?

・減価償却費を収入に算入するか?

・青色申告控除の65万円を収入に参入するか?

というのは、金融機関によっても取り扱いが異なります

したがって、これらの項目が住宅ローンの借入額に影響を与えていることも多々ありますので、それぞれの金融機関の規定を確認することが大事です。

ちなみに、減価償却費を収入に入れてくれる金融機関は一部だけで、多くの金融機関が減価償却費は収入に加算してくれません。

一方で、青色申告控除の65万円は、多くの金融機関が収入に加算してくれます

※ただし、フラット35では控除後の金額(つまり、65万円を引いた額)を“収入”と定義づけているので注意が必要です(2015年6月に住宅金融支援機構に確認)。

専従者給与は、夫婦合算で住宅ローンを組むのであれば一部(または全額を)算入してくれる金融機関もあります。金融機関によって計算方法はさまざまなので、きちんと調べて使いこなしましょう。

 

■まとめ

以上、見て頂いたように、住宅ローン審査は個人事業主(自営業者)にとって厳しいものです。審査方法もハードルが上がるし、個人事業主の方にも落ちる理由が多々あります。

個人事業主がマイホームを持つには、“審査に関する知識”と“計画的な準備”が欠かせません

2年~3年前から準備する必要があるので、無事に審査を通過できるように入念に準備しましょう。

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