「住宅ローンの本審査に落ちてしまいました。」
「審査に通りませんでした。これで2回連続です。」
「審査で落ちてしまったら、もう住宅ローンは組めないのでしょうか?」
住宅ローン審査をテーマに相談をしていると、このような質問をよく受けます。
すでに何度か審査で否認されてしまい、かなり焦っている感じの相談も増えています。
本コラムでは、審査に落ちてしまった人のために、その対処方法について説明していきたいと思います。
目次
■いわゆる「審査ブラック」になっている可能性も
もし、特に思い当たる理由もないのに審査に落ち続けているとしたら、いわゆる「審査ブラック」という状態に陥っている可能性もあります。
・審査ブラックとは?
審査ブラックとは、住宅ローン審査における“ブラックリスト”状態のことです。
実際にブラックリストが存在するわけではなく、本来問題なく住宅ローンを組める人が、さしたる理由もなく審査に落ち続ける状態を示す俗称です。
審査ブラックになってしまうと、一定期間はなかなか審査を通過することができません。
なぜ、このような状態に陥ってしまうのでしょうか???
・個人信用情報を見れば、あなたが審査を受けていることが分かる
実は、あなたが住宅ローン審査を受けているという事実は、各金融機関で情報共有されています。
どのように共有されているのかというと、「○○さんがA銀行で住宅ローンを申し込んで、審査を受けている」という事実が“個人信用情報”に記録される形で共有されるのです。
個人信用情報には、“審査を受けている(受けた)事実”は記録されますが、“審査結果(合否)”までは記録されません。
この、“合否までは記録されない”というところがポイントで、審査ブラックに陥る人は、この制度の悲しい被害者でもあるのです。
・疑わしきは通さない、が住宅ローン審査の鉄則
たとえば、あなたがA銀行、B銀行、C銀行、D銀行と立て続けに住宅ローンを申し込んだとしましょう。
複数の金融機関に申込をして「もっとも有利な条件で住宅ローンを借りたい」という気持ちは、多くの方が抱く本音ですよね。
ところが、“合否まで記録されない”個人信用情報を参照すると、一番最後に申込を受けたD銀行にとっては、途端にあなたが怪しい人物に見えてしまうのです・・・
個人信用情報には、
・あなたがA銀行で審査をうけたこと
・あなたがB銀行で審査をうけたこと
・あなたがC銀行で審査をうけたこと
の3つしか記録が掲載されていません。審査結果の記録もありません。
それを見たD銀行は、「これだけ立て続けに審査を受けているということは、A銀行もB銀行もC銀行も、審査で落ちたのではないか?」という疑いを持ちます。
審査結果までは分からないけれど、“何度も審査を受けている人=怪しい人”と思われてしまうのです。
そして、住宅ローン審査の“疑わしきは通さない”という鉄則に従って、あなたの申込を否認する、という結論に至るのです。
合否まで記録されないことが、逆に悪い方向に作用してしまうのですね・・・
・解決策は、期間を空けること
審査ブラックに陥ってしまったと感じたら、まず、躍起になって審査を受けるのだけはやめましょう。
数うちゃ当たる、とばかりに何度もトライするほど、審査に通る確率は下がります。
個人信用情報の仕組みを知った今では、よく理解できますよね。。。
そして、審査ブラックの有効な解決策は、次の審査まで一定期間を空けることです。
審査を受けた履歴は、6か月間残ります。目安として、最後に審査に落ちた日から少なくとも半年経ってから、新たに審査を受けましょう。
■審査に落ちた理由を特定する
「うちの場合は、どうやら“審査ブラック”ではなさそうだな・・・」と感じたら、他のコラムでも伝えてきたように、基本に立ち返って対策を練りましょう。
まずは審査に落ちた理由を特定するところからです。
審査に落ちる原因の特定については、別コラム「住宅ローン審査に通らない(落ちる)3つの理由」も参考にして頂きたいのですが、ここでも概要をお伝えしておきたいと思います。
・借入額が過大
審査に通らない原因として考えられるのは、まず借入額が大きすぎる、ということです。
金融機関も、返済できる見込みがあれば出来るだけ貸したいのですが、年収とのバランスなどを考えた場合、それにも限度があります。
また、車のローンを含め、他に借りているお金も借入可能額に影響を与えるので、そういったことも考慮しながら予算を決めたり、頭金を用意したりする必要があります。
借入可能額の目安を知りたい方は、別コラム「住宅ローン限度額(借入可能額)を自分で簡単に計算する方法」を参考にしてください。
・返済能力が低い(属性が良くない)
次にチェックして頂きたいのは、いわゆる“属性”の部分です。
属性とは、勤続年数や勤務先などをもとに、“どのくらい返済能力があるか?”を評価したものです。
勤続年数が長い方が有利ですし、勤務先も安定企業(公務員、一部上場企業等)にお勤めの方の方が優遇されます。
また、職種としては独占業務を持つ国家資格(医師、弁護士、会計士など)も優遇されています。
この中で自分で簡単に改善できるのは「勤続年数」なので、もし勤続年数が短すぎる(1年未満)の方は、いまの職場で勤続年数を伸ばすことに取り組んでください。
すでに終身雇用は崩壊しているので、昔のように「勤続年数3年以上ないとダメ」という金融機関はほとんどありません。
目安として、“まず1年、できれば3年”を目指して、審査の準備をしましょう。
・健康状態が不安
住宅ローンの多くは、団信加入が必須条件となっています。
したがって健康状態が悪く、団信に加入できないとなると、住宅ローンも必然的に落ちてしまうことになります。
団信に加入できない場合の対策としては、「団体信用生命保険(団信)に落ちても住宅ローンを組む5つの方法」に詳しく記載していますので、参考にしてください。
いずれの理由にせよ、数打っても当たらないのが住宅ローン審査です。
審査に通らなかった場合、同じ状態で何度トライしても、住宅購入の実現には近づきません。
しっかり原因を特定して、対策を打つようにしてください。
■不安なら個人信用情報も確認しておく
「審査ブラックでもない。審査に落ちる理由も当てはまらない。でも、もしかしたら、あのとき延滞した支払いが原因かもしれない・・・」
「過去の金融事故の履歴がまだ残っていて、これからの審査に影響するかもしれない・・・」
という方も読者の中にはいらっしゃると思います。
そういう不安があるときには、個人信用情報も確認しておくことをお勧めします。
・個人信用情報を入手する
金融機関が参照している個人信用情報は主に3つです。
・CIC(シーアイシー)http://www.cic.co.jp/
・JICC(日本信用情報機構)http://www.jicc.co.jp/
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
これらのサイトでは、自分で個人信用情報を入手することができます。
住宅ローン審査を受けようと思ったら、まずこの情報を入手し、確認しておくことが大事です。
なにも悪い履歴が無ければ安心して審査を受けられるし、少しでも悪い履歴があれば、それに対照することもできるからです。
個人信用情報の分析方法の詳細は、今後アップする別のコラムでお伝えしていきます。
・金融事故履歴は、消えるまで待つ、が基本
信用情報に掲載されている金融事故の履歴を見つけたら、まずは対処方法を検討しましょう。
いつまで掲載されるのかにもよりますが、金融事故履歴は消えるまで待つのが基本です。
消えてしまいさえすれば、今後の住宅ローン審査は安心して臨めます。
そして、金融事故が大きなものであればあるほど(異動や破産履歴等)、事故履歴が残ったまま審査に通る可能性も低くなります。
履歴掲載中でも、いつ「できれば家を購入したい」というタイミングが出てくるか分からないので、できるだけ普段から頭金の準備をしたり、属性を良くするなどの工夫を重ねておいてください。
金融事故の後で1から始めるのは大変ですが、そうやって積み重ねた努力が、将来の審査通過の可能性を高めてくれます。
■まとめ
本コラムでは、住宅ローン審査に落ちたときの対処方法をお伝えしました。
審査に落ちた理由が思い当たらなければ審査ブラックの可能性もあります。待てば解決することなので、焦らずに対処しましょう。
一方、理由が思い当たる方は、それを解消するのが基本です。そのうえで、まだ不安があるようなら個人信用情報もご自身でチェックしてみてください。
審査は複雑に見えますが、対策を打てば必ず通ります。コラムを参考に取り組んでみてください。